信頼できる状態を得た上に進むアップデート
「この車両のオーナー・飯塚さんは、元々カスタム済みの車両を購入されていたんです。ベースはCB750FC。それが足まわりのヘタリが気になって、近くにあった当店(ARA-BULL)にいらしたんです」
このように来店の大筋をアラブル・笹賀さんが言うCB750F。飯塚さんのコンセプトはFBカラー&セパハンのバリ伝・巨摩 郡仕様(シビ子ちゃん)。バリバリ伝説では主人公の巨摩 郡が世界GP・500クラスでチャンピオンを得るところで物語を終えているが、飯塚さんは彼が世界GPから退いた後に、プライベートマシンとしてCB-Fを復活させたというストーリーも描いて、それをこの車両に投影している。
「仕様としてはだいたいできあがっていたので、直近の来店時には足まわりのセットアップを行いました。メンテナンスというか、いいサスが付いていてもブレーキングで沈み込みが強かったり、リヤサスが途中で止まったまま車体が揺れているような車両も多く見ます。それをきちんと動かしてやる。
動かすだけでなく、例えば高速時のコーナリングでサスがぐっとストロークしながらも、同時に細かい振動も吸収できるようにするというように、つまり機能をしっかり発揮できるようにします」
長年バイクに乗り、多くの車両に手をかけてきた経験から、しっかりバイクを動かすノウハウを得る。この車両にもそんな笹賀さんの考えが込められる。
「地味ですけど」と笹賀さんは言うが、それはパーツ(ここではサス)の持てる機能をきちんと引き出すという、ある種のリフレッシュでもある。エンジンも異音が消えないことをきっかけに、CB1100Fの良好なユニットを探して積み替え、その特性もリフレッシュした。
他のパートについては、渋過ぎず派手過ぎずを狙う飯塚さんと相談をしながら手を入れる。パーツ交換などの際に劣化した部分を見つけると、そこも対処する。
冒頭の車両コンセプトに応じてセパレート化したハンドルは、撮影時点ではまだどんな感覚になるのかを知るという状態で、角度や他のパーツとの連携はここから詰めることになる、とも笹賀さん。それでもオーナー、車両ともにもう10年近い付き合いがあるから、作業に問題はなさそうだ。
Detailed Description詳細説明
'82年型CB750FCを'82年型CB750FB純正カラーでフルペイントした車両。ヘッドライトは汎用LEDをセット、左右マスターはブレンボ・ラジアルに換装してある。
メーターユニットは純正で、ヨシムラ・デジタルマルチメーターを追加。ステアリングステムはワンオフで、ハンドルは以前のバー仕様からセパレート化してトップブリッジ下に装着した。
オーナー・飯塚さんの車両コンセプト(巨摩 郡のWGP引退後のプライベートマシン)に合わせて、ヘルメットも巨摩 郡仕様で仕立てた。
テールまわりも純正仕立て。唯一、前後ウインカーは純正より小ぶりのLEDタイプに換装している。
エンジンはカムチェーンテンショナー由来の異音がしたことから、笹賀さんが750F(元のエンジン)の修理か、1100Fへの換装を提案。トルクで走るようにという特性変更も見込んでCB1100F用をチョイス。リジッドマウントの750Fフレームにラバーマウントの1100Fユニットを積むので、クランクケースへのカラー製作・追加等を行うなどした。油圧クラッチはドリームクラフトで、ワンポイントでレリーズをゴールドカラーとした。
キャブレターはFCRφ35mmを装着。フレームには4カ所の補強とリヤショック・レイダウン加工が施されている。
足まわりの構成は入手時のままでフロントフォークはオーリンズφ43mm、フロントブレーキはブレンボ・アキシャル4Pキャリパー+サンスターφ320mmディスクの組み合わせ。
リヤショックはオーリンズ・レジェンドツインにOVER TYPE-1スイングアーム。ドライブチェーンはEK530RCM(BK;GP)。ホイールはPMCソード・ヘリテイジの3.00-18/4.25-18で、将来的には17インチ化も考えられている。
リヤブレーキは純正片押し2ピストンキャリパー+純正φ276mmディスク。排気系はSSPファクトリー製WAGIRIショート/アップタイプだ。