Z向けパーツ・ディストリビューターの老舗PMCの最新売れ筋とピックアップ・アイテム・ピーエムシー
売れ筋を示すワードはリプレイスとレトロ回帰
購入するパーツを見れば、そのショップやオーナーが、Zにどんな作業を施しているか分かる──。Zの中古車価格が今ほど高騰しておらず、カスタムやメンテナンスが頻繁に行われた’90年代、ワイセコのピストンやウェブカムなど人気アメリカンパーツを中心に、Z向けに膨大なパーツラインナップを誇ったPMCで取材時に聞いた言葉だ。当時のZ市場の活況ぶりを思えば、今振り返っても決して大げさな言葉とは思えない。そのPMCでの最新のパーツ動向は? 早速、同社販売促進課・清水昭尋さんに聞いてみよう。
「もちろん’90年代ほどではありませんが、今もZ用のパーツは一定量、手堅く動いています。ただ、当時流行ったハードカスタムというよりは、レストアやメンテナンスにニーズが振れているのが今の特徴ではないでしょうか。
’90年代に高性能なスペックのものがもてはやされたワイセコ製ピストンやウェブのカムの売れ筋は、リプレイス的なおとなしめのスペックのものへと変わりました。
逆に強化対策済みワイヤーハーネスやKYB36Zフロントフォーク、ウインカーレンズなどが頻繁に動くのも、そうした傾向の表れでしょう。そうそう、当時も今も売れ続けているパーツと言えば、ピンゲルのコックがそれに当たりますが、こちらもパフォーマンスパーツというよりは、リプレイスを目的に使っていただいているようですね」(清水さん)
一方で、昭和レトロ感あふれるパーツ群の引き合いは強くなってきているそうだ。
「ウチの定番、AP製鋳造キャリパーが手軽に装着できる、CP2696フロントフローティングディスクキットもそうなのですが、イーグルクラッチカバーやJMCバックステップのような鋳造パーツはよく売れています。また、2022年春の東京モーターサイクルショーで発表した、CRキャブ用の真鍮パーツもお問い合わせが多いですね。既存のファンネルに加えトップキャップも発売します」(同)
リヤがドラムブレーキの初期型には装着できないが、PMCオリジナルのアルミ鍛造ホイール、SWORDシリーズの販売が好調というのも、そうしたレトロムードに今のZユーザーのニーズが寄っている証のひとつだろうか。
時代とともに変わりゆく、Zユーザーと嗜好。その変遷に素早く対応してラインナップを最適化するPMC……。同社の動きはもちろんホームページで把握できる。ムーブメントが気になるZオーナーは欠かさずチェックしたい。
リフレッシュ用を中心に定番アイテムは動き続ける
Z1/Z2強化対策済みワイヤーハーネス4点セット/2万2000円
純正ハーネスを再現したオリジナル復刻版。各ハーネスとも劣化による漏電防止対策を施し、電圧負担の大きいコードには大容量対応のコードを使用する。PMCではZ1/2用にこのほか、スタンダードタイプのハーネスもラインナップするが、この強化対策仕様が圧倒的な売れ筋だとか。
KYB36Zフロントフォーク/20万3500円
ADVANTAGE KYBとの共同開発で、純正形状を忠実に再現しながら、工程・材質とも新設計としたφ36mm正立フロントフォーク。自由長は775mm。Z1/2の6穴ディスクハブへのボルトオン仕様だが、フィッティングパーツを介すれば、’76-’80年型Z750/Z1000系の4穴ハブにも装着できる。
SWORD EVOLUTION〈写真左〉:14万8500円(F)/15万9500円(R)
SWORD MATRIX〈写真中〉:15万9500円(F)/17万6000円(R)
SWORD HERITAGE〈写真右〉:14万8500円(F)/16万5000円(R)
PMCオリジナルのSWORD(ソード)シリーズは、リヤディスク仕様となった’76-’80年型Z750/Z1000系向けの、鍛造アルミ削り出しによる軽量ホイールだ。中央は最新モデルのマトリックス7本スポークで、サイズはF:2.75-18/R:4.50-18。左のエボリューション3本スポークと右のヘリテイジ5本スポークは、フロント:2.75-18、リヤは4.00-18と4.50-18の2サイズから選択可。いずれもブラックとゴールドをラインナップする。もちろんJWL規格適合品だ。
CP2696フロントフローティングブレーキキット (ダブルディスク)/25万3000円
上は’80年代では第一線も、今ではノスタルジックフォルムとなったAP RacingのCP2696キャリパー+φ320mmフローティングディスクによるオールインワンキット。往時のスーパーバイクシーンを思い起こさせるその組み合わせで、今も人気アイテムとなっているものだ。マスターシリンダーはNISSINφ14mmをパッケージする。
Z1/Z2 ウィンカーレンズ/1320円(1個)
ウィンカーレンズはこの2022年10月にリニューアルされたもの。寸法と形状をよりオリジナルに近づけた仕様なった。
昭和レトロを彷彿させる注目&最新パーツ群!
CRキャブレター用クリアフロートチャンバー/3300円(1個)
Zが第一線で活躍した当時を彷彿させるパーツ群は現在も人気アイテム。OEMタイプクーラーキットはオプションのレーシング・オイルクーラーのデザインを崩さず、新設計した4段コア仕様。’72-’75年型Z1/Z2にボルトオン。
OEMタイプクーラーキット/8万8000円
CRキャブ用クリアフロートチャンバーはタンク内で発生した錆や塵などの確認にも有効。面倒な油面調整も大幅に簡略化できる優れモノなのだ。
CRキャブレター用真鍮トップカバー/1万3200円(1個)
ロストワックス製法により高精度鋳造された真鍮パーツは、2022年春の東京MCショー・PMCブースで目を惹いた、金色に輝くCRキャブ用トップカバーだ。
アルミドリブンスプロケットカシマコートブラック(530チェーン対応)/1万8700円
ブラックカシマコートが施されたZ系530用アルミドリブンスプロケットは、なによりシックな色合いが特徴となっている。素材にはA7075-T6超硬ジュラルミン材を採用。
【協力】PMC TEL0799-60-0101 〒656-2131兵庫県淡路市志筑3071番地 https://www.win-pmc.com/
※本企画はHeritage&Legends 2022年12月号に掲載された記事を再編集したものです。
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