多くの製作例から導き出され、新たな定番となる仕様
ゴールド&ブラックの火の玉パターンが車体側のブラックトーンともよくマッチングしたZ1。ブルドックのコンプリートカスタム、GT-M(Genuine Tuning Machine)によるものだ。
スマートなスタイルを作り出す元は、前後ホイール。変則6本スポークのラヴォランテ・レジェンダなのだが、この車両は前後18インチ径を履いている。一方でフロントフォークは大径φ43mmのナイトロン、さらにハンドルはセパレートタイプとなっている。そう、スリムな印象が強い18インチZカスタムに、現代的な力強さとスパルタンな雰囲気が加わったような印象にも思える。少し前に紹介したZ1000Mk.Ⅱが前後18インチ+φ43mmフォークで、その際に新しい提案ですとブルドック・和久井さんに教えてもらっていた。
「以前だと18インチ仕様ではノーマルフロントフォーク(φ36mm)や、それに準じた細身のKYB製フォークを使って仕立てるのが定番でした。そこに大径フルアジャスタブルフォークを使ったスタイルの提案(前述のMk.Ⅱなど)をしたものが、雑誌やSNSを通じて皆さんに知ってもらえて、“こういうのもあり”と浸透したんだと思います」とも和久井さん。エンジンも、18インチ仕様では珍しいと言えるJ系腰上コンバートが行われている。
「載せ替えで比較的容易にハイパワー化ができるのと、J系シリンダーならノーマルサイズのスリーブで1100ccまで行けることからです。この車両ではピスタル製鍛造ピストンで1100化してヨシムラST-1Lカム、当社オリジナルの5速クロスミッションも組んでいます」という内容で、もちろん自社での内燃機加工やきっちりした数値管理等、GT-Mで行われることは当然のように施されている。
いわばワイドタイヤでない18インチのスタイルに、17インチの、ハイパワーを走りに生かすという要素を合体した“いいとこ取り”仕様。Zカスタムの新しいスタイル、定着したと言っていいだろう。
Detailed Description詳細説明
カーボン丸型ボディのミラーはマジカルレーシング・NK-1ミラーのタイプ6ヘッド。左右マスターはブレンボRCS+ケイファクトリー・ビレットブレーキレバーB13/タイプRだ。
ステアリングステムはマッコイ正立φ43mm用のステアリングダンパー対応トップブリッジ仕様で、ハイパープロ・ステダンを横置きする。セパレートハンドルはマッコイ製。メーターは純正にヨシムラ・プログレスメーターを追加する。
ゴールド×ブラックの火の玉パターンで仕上げられたアルミタンクもマッコイ。錆の心配もなく、大幅な軽量化が出来るメリットがある。
シートは操作性と居住性が高まるマッコイ・スプリーム。ウインカーは小型タイプをマウントし、アシストグリップはブラック仕上げとした。
エンジンはシリンダーヘッドとシリンダー=腰上をZ1000J系にコンバートした上でピスタルレーシング製φ73mm鍛造ピストンで1100(1105cc)仕様にしヨシムラST-1Lカムやマッコイ5速クロスミッション等を組む。いわば走りを優先した17インチ仕様とほぼ同じ仕様で、それを18インチにも転用している。扱いやすさも考慮されている。
吸排気はTMRキャブレターにフルチタン4-1(内部4-2-1)のWin Mccoyフルエキゾーストという組み合わせを取り、セットアップもしっかり施す。
フロントフォークはナイトロンNTR43、フロントブレーキはブレンボP4-40RRキャリパーにサンスター・ワークスエキスパンドディスクの組み合わせ。
リヤブレーキキャリパーはブレンボGP2-SS、リヤディスクはサンスター・ワークスエキスパンド。前後ホイールはアルミ鍛造のラヴォランテ・レジェンダで2.75-18/4.50-18サイズを履く。
アルミ角型のスイングアームはマッコイ。リヤショックもフロントに同じナイトロンで、スプリングを車体色に合わせている。ドライブチェーンはRK 520XXW。このように、17インチ仕様のスペックを18インチに投影しているということも分かる。