足まわりを軸にしてしっかり進化を図る
“ビッグ1プロジェクト”によって1992年末に発売され、2022年に30周年を迎えたホンダCB1000SF。その初のバリエーションモデルとして’94年に登場したのがCB1000SF T2だ。ビキニカウルとネイキッドモデルのマッチングを図り、整流効果にも気を遣ったダクトを設ける。一方で全身をブラックとしてワイルド感を持たせるという、ブラック&マッチョが特徴的だった。
この車両のオーナーはそんなT2のマッチョ感と希少性に惚れ込んで車両を購入してリターンライダーとなり、ショップメローズにメンテナンスとカスタムを依頼。これはそこから約2年経った現在の姿だ。
「オーナーさんはT2の力強いスタイルが好きというのを芯に持っていますから、それを維持しながら現代化を図るように進めています。手を入れる内容は、不満があればその対策など、私からも提案しながらひとつひとつ進めています。
CB1000SFは元々前後18インチホイールですが、今は前後17インチの時代。それでホイールをMAGTANにしています。本来ならフォークオフセットも合わせるようにステアリングステムも換えるところですが、今はT2ノーマル。ただ純正フロントフォークをショックベンチで測定した上でマトリスでインナーカートリッジを製作し、フォーク全長も伸ばしてその分を補正しています。今後、ステムは変更するでしょう」とメローズ・中川さん。きちんとした筋立てとパーツ選択・製作を行うのはいつものメローズ流とも言える。
T2にはCB1000SFとRC30(VFR750R)でしか純正採用されていないクイックリリース式アクスルクランプを持ったボトムケース(しかもT2のみブラック)や、T2だけのブラック仕上げ(アルマイトも厚い)スイングアーム、冒頭のビキニカウルなど、他にない仕様の部品も多い。それらを極力残しつつ、かつ各部のブラックカラーのトーンを合わせつつ、今後も作業は進むとのこと。これからの突き詰め=作業の進行具合やその姿も、また見てみたい。
Detailed Description詳細説明
ビキニカウルはCB1000SF T2純正。POSHのGSX400インパルスS用ウインカーステーにCGC製ウインカーをマウントする。左右マスターはブラックボディのゲイルスピード・エラボレートVREをセレクトしている。
メーターやフォークオフセット40mmのステムはCB1000SF T2純正で、ハンドル部には横置きでマトリス・ステアリングダンパーも備える。
ステップはストライカーの他モデル用をアタッチメントをワンオフすることで装着。ピボット部のキャップはT2のみのブラック(レギュラーモデルはめっき仕上げ)だ。
キャブレター変更にともなってエアクリーナーボックスも撤去したため、小物入れをアルミでワンオフしてスペースを有効活用する。
998ccの水冷DOHC4バルブ4気筒エンジンはノーマルで前側エンジンハンガー部にモリワキ製スライダーをセット。エンジンカバー類はT2のみ純正ブラック仕上げで、廃番品も多いが車両コンセプトのT2らしいブラックの維持のためにも極力キープしたいとのことだ。
キャブレターはFCRφ39mmで排気系はナイトロレーシング・チタンエキゾーストの加工品。点火系はASウオタニ・フルパワーキットを使う。
クイックリリースタイプのフロントフォークはCB1000SF T2純正のφ43mmで、ボトムケースをパウダーコート、インナーチューブをチタンコート。またマトリスでインナーカートリッジKITを作製し組み込み、全長を延長している。フロントブレーキはブレンボAxial 4Pキャリパーに純正ディスクを組み合わせる。
リヤブレーキキャリパーはブレンボ P2-RS84を純正同様にスイングアーム上側にマウントし、純正ディスクと組み合わせる。スイングアームはT2純正のブラックだ。
リヤショックはオーリンズ・ブラックラインの他機種用を流用する。ホイールはマグネシウム合金鍛造のMAGTAN JB4で3.50-17/6.00-17サイズを履かせている。