お勧めZRX用オリジナルパーツの背景と車両環境から見えてくる快走ZRX・バグースモーターサイクル

カスタムを進めていく上で、サスペンションやブレーキ、ホイール等の大物パーツ以外にも、使い勝手やルックスを高めたり、快適性を引き上げてくれるような隠れた銘品的なパーツがある。カワサキ水冷系も多く扱うバグースモーターサイクルではそうしたパーツも多くラインナップしている。その背景や車両環境を知れば、ZRXはもっと快適化できそうだ。

細部を引き立てながらトラブルを抑えるパーツ

バグースモーターサイクルのHPを覗くと、多くのオリジナルパーツが用意されているのが分かる。ZRXシリーズ用にもフェンダーレスキットやオイルキャッチタンク、ブリーザーカバーほか、オーナーなら気になりそうなパーツが並ぶ。実際の売れ筋や背景を、同店・土屋さんに聞いた。

「オイルキャッチタンクやフェンダーレスキットは良く動きますね。キャッチタンクはキャブレターをパワーフィルターにしたり換装したりした時に、エンジンからのブローバイガスを大気開放しないように付けて、それで車検を通します。サーキットでも必須のアイテムです。

▲ZRXなどカワサキ水冷、そしてゼファー等空冷も多く扱い、代表の土屋雅史さんはひと味違う工夫や発想でこうした車両を支えてくれる。なお、バグースモーターサイクルは2023年4月1日から新店舗(神奈川県横浜市青葉区美しが丘西3-2-7)に移転し営業中だ。

ひと昔前ならコアな人がカスタムに手を付けるという感じでしたから車検でもそれぞれ対応してましたけど、今では普通の方もカスタムを楽しみますから、それで困らないようにと用意しました。チョーク移設キットもそうですね。純正で左スイッチの横にありますけど、クラッチマスターをラジアルにしたり、スイッチを換えると行き場がない。そのままぶらぶらさせると引っ張られて調子おかしいとか、効かせたい時に使えないといったことになる。それで作ったんですね。割とそんな“ここどうする?”というようなことをサポートするようなパーツが多いですし、増やしていこうと思っています」

ひとつひとつ聞いていくと、どれも納得がいくというか、感心させられるようなものと分かる。つい見逃し、いい加減で済ませてしまいそうなことが解決できるのだ。フェンダーレスキットにしても、装着後に内部に収納したものが落ちにくいようフレームとの隙間を抑え、一方でリヤから見たルックスがきれいになるように外装との隙間も調整。しかもZRX系は車両の個体差が大きいようで、1台で採寸しても隙間が大きくなったり、逆に干渉するものもあってカバーできない。これも複数を検討して最大公約数を取るようにと、工夫を重ねて製品化している。

▲サイドスタンドスプリングは“おしゃれは足下から”を地で行くアイディア品だ。

サイドスタンドスプリングは、めっき仕上げのいわゆるスプリングだが、これも「せっかくきれいに作ったバイクだから、隅ずみまできれいにすればもっといい」(土屋さん)というパーツ。クロモリフロントアクスルシャフト(後に紹介)は「純正新品でも0.1mm程度曲がっていることが多い(マニュアルでは振れの使用限度0.2mm)ので、どうせ新品交換するなら真っ直ぐなものにしようと。実際に付けると転がりもいいしブレーキも効きます」(同)と、車両の水準を底上げしてくれるものが続く。なるほど、これなら使いたくなる。

 

修理/整備を先にすればカスタムはより楽しめる

こうしたパーツ群も交えながら、バグースではカスタムZRXも多く仕立ててきた。紹介しているDAEGの3台はいずれもその例だが、今のZRXカスタムの傾向が分かる。今、同車に乗っている人にも参考になるかもしれない。ブラックの車両は、旧車に乗りたいけれど壊れるのがイヤというオーナーが同店で手を入れるうちに「きちんと手を入れれば壊れない」ことを体験してZ1も手に入れて楽しむようになったという。

▲BAGUS! ZRX1200DAEG/古いバイクに乗りたいけれど、壊れるのが嫌というオーナーが入手したDAEG。足まわりや吸排気系、ポジション系と手を入れ、どんどん乗っていくうちに、ちゃんとしたカスタムを行えばしっかり乗れるバイクになるということが分かったという。カスタムの経験を積む良好な1台となった。

下の青いDAEGは、元はオーナーが乗り始めてから興味のある、付くパーツはどんどん付けていった車両だった。そのうち帳尻が合わなくなった末にバグースを訪れ、不要なものを外し、バランスを取って楽しくなったという。そしてグリーンのDAEGは、この青車両に憧れて手を入れたというもの。パーツの相性も、青車両で得た足まわりセットアップデータも使えて、さらにアレンジを加えてオリジナリティも出している。

▲BAGUS! ZRX1200DAEG/付けられるパーツを次々付けていった状態でバグースに入庫したDAEG。要るものを残し、パーツ本来の性能を引き出して楽しく乗れるようリセッティングされている。フェンダーレスキットはバグース一体式、サイドスタンドスプリングもバグース製を使うなど、細部まで手が入る。

▲BAGUS! ZRX1200DAEG/︎上の青い車両に憧れて、と手を入れたDAEG。全体的なイメージを近づけながら、単にコピーするのではなく細部やパーツの仕様を換えてそのオーナーへのオリジナリティも加えていくのがバグースらしい点。最近は「このパーツを付けたい」というよりも「この車両のイメージで作ってほしい」などの依頼が多いとのこと。

このようなカスタム例のように、細部からきっちりと車両を見直せば、格好良さは高まるし、良く走って楽しめるようになる。その前段階、いや、今楽しくても、注目しておきたいメニューがある。バグースのHPでパーツ一覧を見て、その中にある“車検バイクドック”に気がついた人もいるだろう。このメニューは、土屋さんの提案が形になったものだ。

「乗る距離や整備の割合によっても変わりますけど、年に1度は点検に出してもらって、その上で2年に1度の車検の時にこのくらいやるといいかな、という内容です。メニュー内にもステムベアリング交換とありますけど、開けてみてダメになっている例はよくあるんです。気がつかないうちに傷んでますし、こうした機会でもないとステムなんてなかなか開けるところでもないですしね。

ですからこれで1度車両をしっかりさせる。カスタムと修理がごっちゃになってることも多いですから、こうして点検・修理を先にしておく。するとカスタムの効果もよりしっかり出ますから」

車検バイクドックはZRXに限らず、ゼファーなど空冷や、油冷車両でも行える。ZRXなど水冷にはクーラント交換や見逃しやすいラジエーターキャップ交換も行ってくれるのもありがたい。

このリフレッシュ的作業も、オリジナルパーツも、個性化を含めたカスタム化もできるのはバグースの強み。今ZRXを持っていて、もっと良く走らせたい。もっと使い勝手を良くしたい。そう思ってこのどれかにピンと来たなら、同店HPからパーツを頼んだり、作業を依頼するのもいいだろう。

 

ZRXの快適性を引き上げてくれるバグースモーターサイクル製オリジナルパーツ

■オイルキャッチタンク小物入れブリーザープレート(ZRX1100/1200/DAEG)


エアクリーナーボックスを外した場合のブローバイガス回収等に必要なオイルキャッチタンク(500ml容量で低頭ドレンボルト式)をアルミプレート製小物入れで固定し外観もすっきりさせるアイディア製品。さらにシリンダー後ろ上のブリーザープレートを削り出しで製作。ZRX純正で横向きのパイプを上向きにし、ホースもφ13mm仕様としてキャッチタンクとの連結もしやすくした。セットで4万2460円。各単品販売、各ブラック/シルバーあり。

■一体式フェンダーレスキット(ZRX1200DAEG)(ZRX1100/1200)


ノーマルの樹脂製ナンバーホルダー/フェンダーから換えることでシート下からテールまでを一体化してすっきりさせる。ノーマル車にも装着可能で、テールカウルとこのフェンダーレスの隙間も極力なくし、かつリヤビューをスマートにする設計。シート下も広く使える。STD仕様と、スイングアーム変更の際にバッテリーボックスの加工が必要な社外スイングアームを使う場合に対応するショートバッテリーBOX仕様も用意。現在はシルバーアルマイト、ブラックアルマイト仕様に質を高めた。1100/1200用は4万7080円でDAEG用は4万4000円。


DAEGでの一体式フェンダーレスキット装着例、上がシルバーで下がブラック。裏面もフラットに仕上げてあり、ここにパーツメーカーのロゴステッカーを張って楽しみたいという向きにも重宝されているとのこと。

■純正キャブ用チョーク移設キット(ZRX1100/1200)


純正でハンドル左スイッチ横にあるチョークレバーとケーブルはラジアルクラッチマスターへの変更や左スイッチハウジング流用の際に行き場がなくなる。ハンドル部をすっきりさせつつチョークが的確に操作できるのがこの移設キット(写真下が装着例)。ステーはステンレス製で耐久性を確保。7920円。

■薄型右側スイッチ(ZRX400/1100/1200/DAEG)


スロットル一体の純正右スイッチハウジングからハイスロ化などで別体化した際に必要な薄型スイッチ。従来はヤマハOW01流用等が多かったが、ZRXは常時点灯標準のためヘッドライトのON/OFFは不要。また流用にともなって装着時の配線噛み込みなどによるエンジン始動不良等の症状も見られる。その解決策として純正加工品を用意し、面倒さを排した。1万4080円。

■サイドスタンドスプリングセット TypeB(ZRX1100/1200/DAEG)

車体下側にあり錆びやすく、冬にも走るなら融雪剤の影響も受けてくすんでしまうサイドスタンドスプリングとボルト。きれいなカスタム車を作ったなら、ビシッとしたノーマルに乗っているなら、ここもきれいにすることで車体全体もよりきれいになる。純正新品ボルトとスプリング、ナットを元にめっき加工して機能も確保。ZRX1100/1200/DAEGには「TypeB」が適合。5280円。

■クロモリフロントアクスルシャフト TypeB(ZRX1100/1200)


バグースではZRX1100/1200用にフロントアクスルシャフトを用意(上下写真とも中央の中空仕様のTypeBが適合)。クロモリSCM-440調質材を機械加工→熱処理→再研磨(熱処理での歪みを修正)→片肉10μの特殊コーティングという4工程で製作。強度を確保する一体成形・片側ナット仕様で、純正新品でも公差内で出る曲がりを排し、真っ直ぐであることを重視。転がりの良さやブレーキの効きの向上という効果がある。3万4320円

 

【協力】バグースモーターサイクル TEL045-532-9198 〒 225-0001神奈川県横浜市青葉区美しが丘西3-2-7 営:10時~18時30分(完全予約制) 休: 火水 http://bagus-mc.jp

※本企画はHeritage&Legends 2021年11月号に掲載された記事を再編集したものです。
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