衝撃的な印象を残したボルドールカラーを再現する
736ccという大排気量で北米市場を制するべく作られた1969年のCB750Four(K0)に始まるホンダ直4旗艦・CBの歴史。欧州耐久レースで培ったノウハウでDOHCヘッド化したCB750Four-II、1979年にヨーロッパ調デザインを加えたCB900/750Fと、深く広がった。CB-Fは世界選手権に昇格した耐久レースのためのファクトリーレーサー、RCB1000。アメリカでの市販車シェアに直結するAMAスーパーバイク向けアメリカン・ホンダ製CB750Fレーサー。これらのベースともなった。さらにはプロダクションレースのベース車両、CB1100Rを派生するに至るなど、CBはこのFの時代にひとつのピークを迎えたと言っていい。
そんなCB-Fを再びという話題は常に現れてきたが、それを現代の空冷CBであるCB1100で仕立てたのが、ウィズミーによる“プロジェクトF”だ。空冷CB-Fに良い中古が減ってきた中で“どうしてもFに乗りたい”というユーザーの希望を満たすべく、2010年に改めて空冷+PGM-FIで現れたCB1100をベースに外装パーツを開発。燃料タンクをアルミで、各部外装やインナーフェンダーをFRPで作製。シートも純正再生などしてCB-FのスタイルをCB1100にドッキングしたコンプリート車両として仕上がったのだ。
この車両はそのCB1100“プロジェクトF”による近作だ。15歳くらいにボルドールカラーのCB750Fを見て衝撃を受けたというオーナーが製作を依頼したものだ。ボルドールカラーとは、初代CB900FZ/750FZがまとっていた赤ベースに青グラデーションラインを指していて、CB-F登場当時にRCBがボルドール24時間耐久レース優勝を果たしたこと(’76〜’78年。’79年のノンタイトル戦も)に由来したものだった。
オーナーはかつてスペンサーカラーなどFを乗り継いできたという人だが、改めて今、かつての格好良さを後悔なく手に入れたいとしてこのカラーをオーダーしたという。ウィズミー会長の丸山さん自身もFの良さを熟知していて、それを形にしたのがこのプロジェクトFということもあり、両者の考えは問題なくシンクロする。その上でモリワキショート管やゴールドカラーのゲイルスピード・18インチホイールを追加し、そのバランスも上々。先述のアルミタンクやフェンダーレス化、ホイール変更でも軽量化がされ、カスタムCBという視点で見ても好適な内容を持っている。まさに、今にCB-Fを再現する。そんな1台となっているのだ。
Detailed Description詳細説明
メーターやハンドル、左右マスターシリンダーはCB1100純正。今後の変更にも対応できる部分だ。ステアリングステムも前後18インチホイールを履くCB1100純正。CB-F形状を再現するスクエア形状のウインカーはCB-Fのリバイバル品による、プロジェクトFのオプション「Fタイプウインカー」だ。
燃料タンクはアルミ製でCB1100にCB750F形状をきれいに落とし込んでいて、容量は14リットル(CB1100は16リットル)を確保している。燃料ポンプや燃料計も同時に移植しているため燃料計も正常に動作する。タンクキャップはCB-F純正品で、メインキーで開閉できる。サイドカバーやシートカウルはFRP製で、フレーム側無加工で装着できる。全体はCB900/750FZの赤、いわゆるボルドールカラーで仕上げられている。
1140ccの空冷DOHC4バルブ直4エンジンや6速ミッションにPGM-FI、オイルクーラーや鋼管ダブルクレードルフレームはCB1100そのままだが違和感は皆無だ。
φ41mmフロントフォークやニッシン4ピストンキャリパーほかフロントブレーキシステムはCB1100の純正パーツをそのまま使っている。
片押し1ピストンのニッシンキャリパー+ソリッドディスクのリヤブレーキもCB1100純正。マフラーはモリワキ・フルエキゾースト・ワンピース(ステンレス製)だ。
倒立タイプのリヤショックやスチールスイングアームもCB1100純正。2.75-18/4.00-18サイズのホイールはアルミ鍛造6本スポークのゲイルスピードTYPE-Nを選択。シートはCB-F純正をベースに内部リフレッシュ&形状変更、表皮張り替え。合わせてインナーフェンダーもFRP製に変更した。