旧車を好調にする要所を的確に押さえる重要性
「点火系をウオタニSP2に換えてキャブレターはビトーR&Dの6連FCR。マフラーはジンワークスのチタン。それくらいですよ」
メカドックの畑中メカニックにこのCBXの変更点を尋ねると、こんな答えが返ってきた。確かにそれ以外のDOHC2バルブ並列6気筒エンジンなどは純正状態だ。だが、ここで教えてもらった変更はカスタムやレストアを超えて、旧車を今普通に乗るのに勧めたい内容とも。
「ホンダ車で多いんですけど、フルオリジナルにこだわるあまり、調子が戻らないままというケースですね。キャブレターをオーバーホールしても、いいとこ100点満点の50〜75点のポテンシャルにしかならないとか。
ここはオリジナルにこだわり過ぎずに吸排気とも社外パーツに換えて、発電と充電、点火を見直すことでポテンシャルをきちんと出しましょう。そういう提案なんです。エンジンそのものが悪くなっている場合にはオーバーホールして圧縮を回復するなどの手段はありますが、調子という面ではそれ以外のところにも目を向けてほしい。ポテンシャルが引き出せればかなりのところまで楽しめます。
バリバリのカスタムみたいにビシッと止まる、ぐっと曲がるというのはまた別の話になりますけど、それでもキビキビ走れるようにはなるんです。お店にそんな風にした見本車とか、カワサキ車のように入庫車がいつもあるのなら比べられて説明もしやすいんですけど、ホンダ車はなかなかなくて」
メカドックでは多くの車両がこの手法で好調を得てきた。マフラーに関しては同じ札幌で活動するジンワークス製はお勧めとも。
「このマフラーで言えば、CBX用で見られがちな低中速の谷がなく、レスポンスも吹けもいいんです。お互いに近いですからこちらの細かい指示も聞いてくれてその確認もしやすいですし、ジンワークスさんの方もこっちの考えている特性への要望や、私たちがどんなことをしているかを知って対応してくれるのがいいです」とも畑中さん。
要所を押さえるパーツにもいいものを選び、さらに良く。この車両を通じたメカドックの提案、ちょっと注目してほしい。
Detailed Description詳細説明
セパレートアップのハンドルや速度計とエンジン回転計の間に電圧計をレイアウトするメーターまわり、フロントブレーキマスターなどはCBX(1000)純正そのままで、左側ハンドルバーにデイトナ・アクアプローバ(油温等を表示)を追加。この車両はフォークイコライザーを持つエア加圧フォークとなった'80年型SC03と分かる。
赤で天面にブラックのライン、ゴールドのピンスストライプが入る外装やサイドモールの付いたシート等も純正そのままだ。
1047ccの空冷DOHC4バルブ並列6気筒エンジンはスペックこそノーマルだが点火系(ウオタニSP2)や吸排気系を変更して元気良く回る。OVER製エンジンガードも追加される。
左右3気筒分をそれぞれ直列に並べた上で、これをV字状に配置した6連タイプのキャブレターはビトーR&D扱いのFCRφ33mm。
ジンワークス製6-2-1フルチタンマフラーは絶妙なレイアウトとともに低中速も充実しレスポンスも吹けもいいという、この車両のキーパーツだ。
φ35mmフロントフォークはエア加圧タイプ(初期'79年型CBX[CB-1]では加圧なしで、'80年型CBX[SC03]で変更された。'81年型CBX[SC06]でも継続採用)。ブレーキは前後とも純正のニッシン片押しキャリパー+ソリッドディスクだが、エンジン同様にメンテナンスされて必要な制動力を確保している。
ジンワークス製チタンエキゾーストは6-2-1と集合して右出しのメガホンエンドにつながる。丸パイプのスイングアームなど足まわりもほぼ純正だ。
リヤショックは社外の初期荷重調整タイプに変更される。2.15-19/2.50-18サイズのアルミ裏コムスターホイールも'80年型の装備。ドライブチェーンにはD.I.D.を選択。