オーバーホールとともに対策を施しさらに楽しく乗る
空冷Z系を筆頭に、このところではZ900RSにも力を注ぐアメリカンドリーム。もちろん車種を問わずに各種整備やカスタムも行ってくれる。この車両はそんな同店に持ち込まれ、各種作業を受けた。
「元々は中古で入手されて、フロントホイールを17インチ化するなどカスタムを楽しまれていたんです。そのうち、エンジンからガラガラ……という感じの異音がするということでその原因を見つけるために当店に入庫されました。
その時にメーター読みの走行距離が約4万kmになっていましたから、異音の解消と合わせてオーバーホールも行うことでエンジン全体も見直し、リフレッシュしたんです」とアメリカンドリーム・松田さんの弁。
作業は約3年前のことで、その当時、組み上げ直前のエンジン内部パーツも見せてもらえた。異音の原因は4番(ライダーが跨がった状態で上から見て右端)気筒のコンロッドメタルの焼けだった。対になる4番クランク軸も焼き付きかけていて、ここに熱がかかり過ぎていたことが分かった。この車両ではないが熱のかかり過ぎの遠因にはエンジンの回しっぱなしが挙がる。よく動かしているエンジンでもオイルラインのOリングやオイルバイパスが元になることもあるという。ほかに長期間動かしていないエンジンでのオイル落ちも原因になり得るとのことだった。
幸いにしてここでは異音で気がつけて、最悪の事態=ブローが避けられた。その後エンジンは空冷Zで培ったノウハウも生かしつつポート加工や各部リフレッシュを行い、アニーズ製鍛造ピストン&スリーブを組んで、きっちり組み直された。
どの機種でもそうだが、空冷のゼファーではとくに定期的なエンジンオイル交換、まめな調子の確認が欠かせないとも松田さんは加えてくれる。なお、この車両でもそれを適用し、オーナーはさらに楽しみながら今も距離を伸ばしているとのことだ。
Detailed Description詳細説明
ハンドルバーはエンジンオーバーホール時にはセパレートだったが現在はアクティブ・ROADバーに変更。メーターはブランクパネルに変更し、ヨシムラ・プログレスメーターを追加。左右マスターシリンダーはブレンボラジアルで、ミラーはマジカルレーシング・NK-1ミラー タイプ2ヘッドを装着。ステアリングステムはアメリカンドリーム・オリジナルのプライドブランドで旋回性重視のオフセット[STD:40→]33mmを選択している。
ダブルタイプのシートも内部/表皮とも変更し足着き性や乗り心地を向上する。サイドカバーはしゃぼん玉製カーボンに置換して、パーツ割れも対策する。
エンジンは異音の原因を4番気筒のコンロッドメタルとクランク軸の焼けと突き止め解消、アニーズ製φ77mm鍛造ピストンによる1165cc化等を行った。圧縮比も[STD:9.1→]12.1:1とし、スリーブもアニーズ製に打ち替えてポート加工や燃焼室鏡面加工などのメニューも施された。
キャブレターはTMR-MJNで、現在はヨシムラ・デュアルスタックファンネル仕様(レッド×ブラック、ドレンボルトもレッド)としている。
排気系はアメリカンドリームオリジナルのチタン4-1フルエキゾーストを装着。テールパイプUPタイプでサイレンサーシェルはカーボンだ。
フロントフォークはオーリンズRWUでフロントブレーキまわりにはブレンボP4 34キャリパー+サンスター・ワークスエキスパンドディスクをチョイスした。
リヤブレーキはブレンボP2キャリパーを下側フローティングマウントとして、サンスター・プレミアムレーシングディスクとセットする。
リヤショックはオーリンズ・ブラックライン。スイングアームはゼファー1100純正で前後ホイールはアルミ鍛造のゲイルスピードTYPE-R、[3.00-18/4.50-17→]3.50-17/6.00-17サイズを履く。リヤタイヤは190幅。ドライブチェーンはRKでステップキットはアグラスだ。