自社扱いのブランドをクロスオーバーしてTOTに挑む
現代の技術で作られたハイスペックなストリート&ネオクラシックスタイルのマシンで、テイスト・オブ・ツクバ=TOTに新風を吹き込むことをコンセプトに新設された「ストリートファイタークラス」。改造範囲も制限されていて、分かりやすく言うならば、動力系はマフラー変更とサブコン追加はOK、フレームも基本骨格はそのままで補強は可。ほか、ボルトオンパーツの追加や換装はOKという具合だ。
2022年5月14日のTOT SATSUKI STAGEで初開催となったこのストリートファイタークラス。#51田中信次選手が乗ってウェットの予選で1分9秒582を記録してポールポジションを獲得、ドライの決勝はスタートから首位をキープし1分4秒439のレコードを記録しつつ優勝を飾った。そのマシンがこの「YSS ARCHI Racing with again Z900RS CAFE」だ。ネーミングでも分かるかと思うが、参戦母体はPMCだ。そのアーキ担当・清水さんは参戦の経緯をこう説明してくれる。
「ひとつにはブランド認知の促進というテーマがありました。現行車用パーツを送り出すアーキと、十分な性能を秘めるYSSサスペンション。PMCで扱うこのふたつのブランドをより広めたかったんですね。そこに“TOTに新クラスができる”と社内でも話題になって、参戦を決めました。
もうひとつは新クラスに対しての参加意義です。パーツ開発者として大きな意義があると思いましたので、まず参戦。決めてからレースまでは日数もありませんでしたけど、出るからにはできる限り上位を、そのうちにトップを目指そう! となって、こうしたレースの現場にも強いアゲインさんに協力していただきました」
車両はストリート用デモ車を転用し、本戦まで約2週間の短時間で仕立てられていった。改造制限があるとは言え、ベースとなる市販車をレーシングマシンとして完成させるには、きちんとした準備が必要だ。そこをクリアしつつ、レース用に外装をデザインし、事前テストを行って参戦に至る。レース時のバンク角確保のためにステップこそ加工したものの、ビレット・ハニカムサブフレームはZ900RS純正アクセサリーのエンジンスライダーと同時装着できるなど、各パーツは実用面、ルックス面ともに効果を見せたようだ。なお、レース後には同クラス初代チャンピオンを記念したチャンピオンエディションのZ900RS用リヤショックを30セット限定販売した。
「新クラスで、車両も乗っているライダーの皆さんも速い中で、しっかり走ってブランドアピールできたかと思います。これをきっかけに使っていただいて“YSSサスペンション、いいじゃない!”と思ってもらえるならいいですね。アーキとしても、ここから先の新しいアイテムを考えるいい機会になったと思います」と清水さん。
ストリートカスタムファンも多く注目するTOT。その新クラスでの活躍は、当初のテーマ通り、YSSとアーキのアピール度を高めたはずだ。この車両も含め、今後も新しいパーツとともに現れるだろう同社のZ900RSデモバイクにもぜひ注目したい。
Detailed Description詳細説明
フロントマスターシリンダーはゲイルスピードVRCでクラッチレバーはスナイパー。ビキニカウルはアーキ・ギルズカウルに変更された。
ステアリングステムはZ900RSノーマルで、アルミ削り出しのアーキ ステムトップ キャップカバーを装着。メーターカバーもアーキ・カーボンに。
サイドカバーはアーキ・D.B.I.(ダブル・バブル・インテーク)を装着する。外装はYSSロゴやARCHIロゴを配したオリジナルカラーだ。
エンジン等はノーマルで使うが、シフト操作を確実にするチェンジロッドリテーナー、ビレット・ハニカムスプロケットカバー等を装着。フレームはバンク角確保のためにサイドスタンド部をカットし、フレームサイドにはアーキ ビレット・ハニカムサブフレームを備え、効果も確認。純正アクセサリーのエンジンスライダーとも同時装着できた。ラジエーターにはヘックスコアプロテクターを装着している。
前後ホイールとブレーキキャリパーは純正で、ともにブレーキディスクをサンスター・ワークスエキスパンドディスクに換装している。
リヤショックはYSS製MS456でHPA付き。ステップはアーキ ビレット・ハニカムステップだが、レース用のバンク角確保のために加工している。
スラッシュカットメガホンのマフラーはアーキ・LOUDEX(ラウデックス)のプロトタイプ。今後ストリート用/レース用の市販に向けて開発を進めるという。