20220603 BrightLogic katana 02

軽く、動かしやすくをパーツ選択時点から作り込んでいく空冷カタナ。KATANAにはオールラウンド性を高める提案を・ブライトロジック【後編】

何が必要で、何が必要でないか。ブライトロジックでバイクに手を入れる際に重視されるこの要素は、カタナに限らず他の車両でも同じだ。そこから導き出されるパーツ使いや各部の作り方は、空冷カタナにも、KATANAにも大きな参考になる。前編はこちら

車両の特徴を引き出せば楽しみの幅は広がる

電気系は外から見えないパーツ。だからこそノーマルにこだわることはなく、劣化のない新しいもの、機能に優れる=点火が強くなり、壊れにくいものを使う。こうした竹中さんの考えは、車両全体にも及んでいる。

「そもそもバイクを何かしら良くしようと思って仕事をしていますから、ノーマルにこだわらなくていいと考えています。カタナの場合、ノーマルはフロント19/リヤ17インチですけど、よほどノーマルが好きな場合以外は、前後18インチにするのがいいと思います。純正はホイールも重いですし。18インチにしてやるだけで軽くてスムーズな乗り味になる。前後18インチが標準と考えていいくらい(17も可)です。

逆に、ノーマルがいい部分は変えなくてもいいんですよ。たとえばカタナでは、キャブレターはノーマルでも十分。開け始めからの過渡特性がすごくいいんです。ここは最新のFI車を含めて、ほかのバイクにはなかなかない。もちろん目的があるなら換えるのもいいんですが、そういうところもあるんですよ」

20220603 BrightLogic katana 13

▲入庫した車両は全バラされ、フレームは修正・リフレッシュ、ベアリングやシール類新品交換、電気/エンジン/足まわりのリフレッシュプラスαと作業が進む。スイッチまわりまでも新品にされるが、それは完成時の作動が新車のそれと同じであるように(減ったことで作動が変わることを避ける)という配慮からだ。

以下で紹介している空冷カタナはキャブ変更(以外、ほぼ’20年の東京モーターサイクルショー出展予定車と同仕様)を行っているが、この仕様は長年カタナを扱ってきた竹中さんの目からもベストに近いという。

「18インチで軽く、作動もしっかりしています。エンジンもやり直して、普通に乗れます。フロントフォークもノーマルφ37mmでも、この車両のようにφ43mmでもいいです。現代バイクは何か換えたらエラーが出てしまうというくらいにもうかなりいじれるところが減ってますけど、空冷カタナはその逆でマフラーも換えられるしエンジンもいじれる。それを楽しむのもいいでしょう。ちょっとベースとして考えるには高くなりましたけど、まだカワサキZより安いでしょうか」

いじれるベースの空冷カタナ。現代車は手を入れにくいとは言うものの、新型ATANAにも意欲的なデモ車を作った竹中さん(前編参照)、こちらはどう考えているのか。

「展示する機会が少なくてまだ多くの人には見てもらってないですけど、気軽さは大事。そのために足着きを良くするリンクも販売します。今のバイクで何をするかって考えると、やっぱりツーリング。それで乗ろうという気になるのも、行った先で砂利に足を取られて立ちゴケなんてのを防ぐにも、足着きは良くしたい。安心感が増えれば車両も好きになるでしょうし、そのあたりから進化させます」

初代カタナの現役時代からレースチューニングを長年続け、自らも毎月のようにツーリングする中から、必要な機能(使いやすくする、疲れないもそのひとつ)を見出し、車両に反映する。もし手を入れることを思い立ったら、同店の車両群を思い浮かべてほしい。

 

作動精度や軽さを軸にベースコンディションを高めた上でハイバランスパッケージしたカタナ

20220603 BrightLogic katana 02

20220603 BrightLogic katana 03

BRIGHT LOGIC GSX1100S/「カタナで最もまとまりがいいパッケージ」(竹中さん)という1台。’20年の東京モーターサイクルショー出展予定車とほぼ同じでキャブが違う程度だが、そこはアレンジの範疇。前後18インチに電装変更や各部精度をきちんと詰めるなどしている。

20220603 BrightLogic katana 04

20220603 BrightLogic katana 05

20220603 BrightLogic katana 06

20220603 BrightLogic katana 07

20220603 BrightLogic katana 08

20220603 BrightLogic katana 09

ノーマル同様にワンボディのメーターはエースウェルのACE-4533、ステムはGS1200SSの加工品でセパレートハンドル仕様。シートはスプリーム。テールライトはLEDタイプに変更し、その下側、ナンバー部との間に高輝度LEDウインカーを収める。フレームはピボットまわりやリヤショックマウント部の補強を行い、電装はハーネス引き直し、ブラックボックスもGSX-R系でアップデートしている。エンジンもオーバーホールとピストン変更の定番メニューでパワーとライフを両立。シフトシャフトもヨシムラカバー部のベアリングで支持し、確実なシフトと良好なフィールを得る。キャブはTMR-MJNφ40mm。

20220603 BrightLogic katana 10

20220603 BrightLogic katana 12

20220603 BrightLogic katana 11

フロントフォークはオーリンズRWUでφ[37→]43mmに。前後ブレーキはブレンボキャリパー+サンスターディスクでフロントはCNCラジアルキャリパー。[1.85-19/2.50-17→]2.75-18/4.50-18インチの前後ホイールはマグネシウム鍛造のMAGTAN JB4。スイングアームはルックスのバランスも良く、取り付け精度が高いというアドバンテージ製。リヤショックはオーリンズで排気系はブライトロジックオリジナル。チェーンはRKの50XW(530相当)だ。

■取材協力・BRIGHT LOGIC

※本企画はHeritage&Legends 2021年2月号に掲載されたものです。

「軽く、動かしやすくをパーツ選択時点から作り込んでいく空冷カタナ。KATANAにはオールラウンド性を高める提案を・ブライトロジック」前編はコチラ!

WRITER

Heritage&legends編集部

バイクライフを豊かにし、愛車との時間を楽しむため、バイクカスタム&メンテナンスのアイディアや情報を掲載する月刊誌・Heritage&legendsの編集部。編集部員はバイクのカスタムやメンテナンスに長年携わり知識豊富なメンバーが揃う。