コンプリートのノウハウをノーマルルックに投影
きれいなノーマルルックのZ1。ブルドックが手がけたと聞けば、納得と同時に、その先が気になる。同店・和久井さんに聞こう。
「この車両は“1000(cc)でワイヤスポークホイール、ノーマルチックに”というオーダーを受けたものです。でも、中身はGT-M」
GT-Mと言えば前後17インチ化を軸にしたZ系のコンプリートカスタムとして、各部のパーツ使いをはじめ、ハイグレードな仕様が思い浮かんでくる。この車両ではどんな風に盛り込まれているのだろう。
「エンジンはピスタルレーシング鍛造ピストンで1015cc仕様。オイルポンプも当社のギヤ式を組んで、一新してます。内燃機加工も自社内。外観についてはバフでなく、レトロ感も出るように結晶塗装仕上げ。フレームもいつものGT-Mと同様です。フロントフォークもφ36mmでステムともに純正、スイングアームも丸パイプですけど、これはノーマルルックとのバランス。フロントフォークスプリング変更やリヤのナイトロンショックとともにセッティングを入念に行って、19/18インチバイアスタイヤで、例えば180km/hくらいの高速走行をしたとしてもビシッと安定しています」
フロントブレーキのアップグレードもしっかり行う一方で、全体のバランスを出力やルックスに合うように整える。リヤブレーキはあえての純正ドラム仕様、ステップも鋳造品だが、これもノーマルルックに応じた自然な作り込みを考慮した結果だ。
軽量パーツは特に使われていないのに押し回しも軽いのは、絶妙なディメンション設定が施されているから。これも17インチや18インチの車両を多く手がける中で積み上げてきたGT-Mのノウハウを、改めてノーマル19/18インチに応用しているというわけだ。
自然なたたずまいの中にハイレベルな内容を作り込んだフルカスタムというGT-Mに共通したノウハウ。こうしたノーマルルックの中にもきっちりと反映されているのだ。
Detailed Description詳細説明
メーターやヘッドライト、ウインカーはZ1の純正。ステムはフロントフォークとのバランスを考え純正を使っているが、ブレンボRCSマスターシリンダーやこれに合わせたクラッチホルダー、現代化したスイッチ類で機能性やタッチなどはしっかりと高められている。
シートもリニューアルされ、乗り心地の良さも作り込む。火の玉カラーの外装類も純正だが、GT-Mクオリティで美しく仕立て直されているのだ。
エンジンはピスタルレーシング製φ70mm鍛造ピストンで1015cc仕様に。内燃機加工も自社で行うGT-Mの手法はここでも保たれる。カバー類はバフでなく結晶塗装してレトロ感も演出。クランクシャフトを基準に各部位置を決め、フレームも同基準から仕立てるのも同様。
吸排気はFCRφ35mmキャブレター+ショート管で電装も一新。ノーマルライクをテーマに、突出感を作らないような点も参考になる。
全体感や出力に合わせてバランスを取った、純正ベースの足まわり。φ36mmフロントフォークはハイパープロスプリングを組んでリヤともバランス。フロントブレーキはブレンボ4ピストンキャリパー+サンスター・フローティングディスクと、機能も確保した。
リヤブレーキは純正ドラム。スイングアームは純正の丸型鋼管で、ステップも車両全体の雰囲気に合う物をあえて選択している。
リヤショックはナイトロン・ステルス。ホイールリムは[1.85-19/2.15-18→]2.15-19/3.50-18サイズのDIDアルミで、チェーンはRK530R-XW。