イタリア車カラーにこだわるペイントで独自性を醸す
カワサキZシリーズを軸としたコンプリートカスタム車のRCMを送り出すACサンクチュアリー。この車両はその近作のZ1、RCM-556。オーナーのこだわりはイタリア車のカラーを使った外装ペイントで、これに合わせて車体各部にオレンジを配し、かつカーボンパーツを組み合わせること。ベース車高騰にもかかわらずこれから乗るということで、妥協ないパーツ/スペック選択がされているのも特徴の1台だ。ある意味でRCMの最新見本的なモデルとして、その上にここに述べたようなカラー等で個性が加わったと考えていいだろう。
RCMとして17インチの現代ハイグリップラジアルタイヤをZに履いて楽しめるようにすること。そのためのディメンション設定やフレーム加工=ステージⅡ/Ⅲ補強を行う。ワイド化したリヤタイヤに合わせてドライブチェーン軌道をオフセットしつつ、フレームへの干渉をさせないインライン加工。リヤショック位置も移動しつつ適正化するワイドレイダウン加工。さらに必要なトレール量を確保する適正オフセットを持つステム、長さも吟味してきたスイングアーム。シャシーだけでもこれだけのことがされ、ノウハウとなっている。
エンジンも、壊れにくさを重視したライフ仕様を進化させる。対策パーツの製作や、クランクやミッションも含めた精密クリアランス、スムーズ加工。バルブガイドまわりの再構築。これを確立すると、それを元に元気あるパワー仕様が作られる。さらにそのパワーで壊れないライフ仕様……と、耐久性とパワーが交互に進化してきて、その集大成が最新仕様にフィードバックされる。
エンジンについては、新設された自社精密加工部門で内燃機加工。精密加工が内製化でき、4気筒を均質にし、より効率も高められるようになる。さらに同店ZレーサーⅢ号機やオリジナルフレームのRCM-USA A16シリーズで確立されたFI化も、今後視野に入ってくる(空冷ZをFI化することにユーザー側の抵抗が少なくなっている)。これらは今まで作られた車両への追加工も可能で、過渡特性の改善等でZにまだ隠されていた能力が引き出せるなど、新しい進化も望める。
同店代表の中村さんが常々言ってきた、ハイスペックの定量化によって、RCMの性能は常に底上げされ、どの車両にも適用される。つまり、市販車同様にRCMという車両を選んで、その上に個性化を図る=カスタム化するという行為が、より高いレベルで行えるようになる。この車両は、そんなRCMの内面を顕著に教えてくれる1台でもあるわけだ。
Detailed Description詳細説明
左右マスターシリンダーはブレンボRCSで、ハンドルバーはPOSHスーパーバイクバー。メーターはパネルをホワイト化し、ヨシムラ・プログレスメーターを追加。配線類もすっきり整理している。純正に準じたボディ形状のミラーはマジカルレーシング製NK-1・タイプ6ヘッドだ。
明るめのオレンジで軽快感も高めた火の玉パターンカラーは奥進がペイント。ディスクインナーなど各部ハードパーツにもオレンジを差し色として使う。シートはデイトナRCMコンセプトシートで燃料タンクにはドレミコレクションのエアプレーンキャップ付きタンクを装着。
エンジンはオーバーホールに重点を置いたライフパッケージの958cc仕様で、ピストンはピスタル製φ68mm鍛造品。バルブガイド入れ替え/バルブシートカット後にPAMS HFバルブ(プラス)を使うなどヘッドまわりの加工やケース側のポンピングロス加工等も行われる。
キャブレターはTMR-MJNφ38mmデュアルスタックファンネル仕様。排気系にはナイトロレーシング・ウェルドクラフトチタン3D EXを装着。
スカルプチャーφ43ステムキットTYPE-1(フロントフォークオフセット[純正値:60→]40mmとしてトレール量を確保)でクランプされるフロントフォークは、オーリンズRWU。フロントブレーキはブレンボGP4 RXキャリパー+サンスター ワークスエキスパンドφ320mmディスクの組み合わせ。
リヤブレーキはブレンボCNCニッケルP2 34キャリパー+サンスターφ250mmディスク。リヤインナーフェンダーおよびフロントフェンダーはカーボン製。リヤフレームに沿うような配置がされたサイレンサーは、ナイトロレーシングのコニカルチタンV-2だ。
リヤショックはオーリンズブラックラインで、スイングアームはスカルプチャーR.C.M専用ワイドスイングアーム。前後ホイールはアルミ鍛造のO・Zレーシング GASS RS-Aで3.50-17/5.50-17サイズ。タイヤはピレリ・ディアブロで120/70ZR17・180/55ZR17サイズを履く。