より深く知りたいという気持ちが新たな車両製作へ
「このZ1=RCM-547のオーナーさんは、この車両の前にRCM-399というシリアルナンバー(製造番号)の車両を購入されたんです。そちらはRCMのうち、当社で作り置きして販売する“RCMクラフトマンシップ”で、ベースはRCM-547に同じZ1。RCMは複数台をオーダーされる方も増えましたが、Z1とNinja、Z1とMk.llというように、だいたいは別のベース車でした。この方のように2台ともZ1というのは初めてでした」
ACサンクチュアリー・中村さんがこう言うZ1。RCMは同店によるコンプリートカスタム車で、現代17インチタイヤに合わせた車体の作り込みや各部高質化等の内容は既に多くが知るところだ。その上でベースの機種も同じ。そうなると2台はどこが違うのか気になる。
「それが、形状やスペックという点ではハンドルバーだけというくらいです。以前のがセパレートハンドルで、こちらはバーハンドル。同じ完成度の中で17インチと18インチというようなディメンション違いなどは考えられるのですが、この両車に関してはまさにここだけ。よほどRCMを気に入っていただけたことで、この違いを作りたいとなってくださったんですね」
RCMを完成されたベース車両と捉えた上でそこにアップグレード=カスタム化を図るという話はこのところ多く聞いてきたが、それを2台用意するというのも羨ましい話だ。
「今回はイチから作ったフルオーダーメイド車です。気に入ったコンプリートを、イチから自分のイメージ通りで作ったらどうなるかという思いもあったかと思います。
作り手から言えば、2台の間にはおよそ150台の車両と、時間経過があって、その間にパーツ(カスタム用も純正延命/強化用も)も技術も進化しています。その意味で、完成度も信頼度もより高められたという違いはあるかもしれません」
RCMを気に入ったからこその2台持ち。心ゆくまで乗った上での感想も聞いてみたくなる。
Detailed Description詳細説明
もう1台のRCM-399(デイトナセパレートハンドルを装着)との相違点となったハンドルはPOSHスーパーローバー。ステムはスカルプチャーφ43 タイプ1ステムキット(オフセットは[60→]40mm)でメーターはリフレッシュ、左右マスターシリンダーはブレンボRCSだ。
エンジェルがペイントを担当した燃料タンクや各部カバーは、オレンジ×キャンディブラウンの純正火の玉パターンの色味をわずかにアレンジ。
シートはRCM各車にも使われるデイトナRCMコンセプトシート。乗車感やホールド性に優れ、補修やリプレイスにもすぐ使える利点も持つ。
ステップキットとタンデムステップキットはともにナイトロレーシング。フレーム各部補強のうち、ピボット上部はここでも分かる。
エンジンはピスタルレーシング製φ73mm鍛造ピストン/PAMS・ESTライナーによって[純正値:903→]1105cc化。クランクは芯出し修正、ミッションはドッグクリアランス精密シム調整、クランクケースはポンピングロス低減加工など行う。パワーとライフの両立を狙う構成だ。
キャブレターはTMR-MJNφ38mmのデュアルスタックファンネル仕様で、マフラーにはナイトロレーシング・チタン手曲げヒートポリッシュをチョイスした。
フレームはオリジナルST-2補強やドライブチェーンラインオフセット軌道対応インライン処理、ワイドレイダウン加工などが行われている。
フロントフォークはオーリンズ正立のRWUで、フロントブレーキはブレンボGP4 RX・4ピストンキャリパー+RCMコンセプトφ320ディスクの組み合わせ。
スイングアームはスカルプチャーワイドスイングアームで下側スタビ追加仕様とし、リヤショックにはオーリンズ・レジェンドツインを装着する。
前後ホイールはO・Zレーシングアルミ鍛造のGASS RS-Aで3.50-17/5.50-17サイズ。サイレンサーはナイトロレーシングストレートチタンV2だ。