【SPECIAL MODEL IMPRESSION】クラシックカフェレーサーに見えるヤマハ・XSRが本来の姿を取り戻した!・アクティブ

発売以来、独特なキャラクターの並列3気筒エンジンとバリエーションモデルで ヤマハのビッグストリートスポーツの主役の座を勝ち取ったMT&XSRシリーズ。 解釈の自由度が高いからこそのバリエーションモデルに、アクティブがひと味を加えた。 XSR900をもっとスポーティに!

カジュアルなスポーツ性が 特徴の原点回帰版XSR!

今回試乗したのは、春の東京モーターサイクルショーにアクティブが出展したXSR900。先に、ベースのXSR、その元になるMT-09をおさらいすると話がしやすい。

XSRのルーツは2014年に新作の並列3気筒エンジンで登場したMT-09だ。後にトレーサー9/GTやNIKEN、XSRにXSR-GP、YZF-R9と多くのモデルを派生することになる。

実はそのMT-09の初代に、僕はちょっと違和感を持っていた。それは「元気すぎる」こと。MT-09は110PSの出力に、188㎏の軽量スリムなボディを組み合わせてきた。新エンジンのスロットルレスポンスは鋭く元気でギュルギュルとトルクあふれ、やんちゃな暴れ馬のようなバイクだったのだ。

そのキャラクターとスタイリングの乖離が違和感だったのだろう。このエンジンなら、もっとスポーティな車体やライディングポジションでいいのに、またはこの車体構成やポジションだったら、もっとおとなしいエンジン特性が合うだろうに……と思っていたのだ。

▲ACTIVEのXSR900はアクラポ製フルEXと ハイパープロのスプリングで 走る楽しみが倍増している!

ヤマハ自体もMT-09はモタード的な特性を狙っていたと言うし、先に言ったような派生車の豊富さからは、いくらでも特性は変えられるということだったのだろう。

そこに2024年、XSR900GPが登場した。往時のYZR500を思わせるメインカラーがイメージさせる通りのスポーツバイクで、やっとキャラクターとスタイリングが合わさったと思った。特にXSR900のバーハンドルよりもグッとグリップポジションが低くなるGPのセパレートハンドルは、心がスポーツバイクになる! 前傾姿勢でバイクに乗るだけで、こんなに気が引き締まるものか、と思い知らされるほどだ。

けれど実は、セパレートハンドルの効果は気持ちだけではない。ハンドルが下がったことでフロント荷重が増し、コーナリングのキャラクターも変わってくるのだ。XSR900とGPの違いは、GPの方が、よりフロントから曲がっていく気持ちよさがあること。うん、これでやっとルックスと3気筒エンジンの見せる走り味が近づいてきた──それがGPだった。

それでも、もう少しカジュアルにスポーツバイクを楽しめれば、と思う向きも多いだろう。3気筒エンジンの軽さとセパレートハンドルのポジション、乗り味。そこに照準を合わせたのが、今回試乗したアクティブXSR900というわけだ。

「モチーフはXS650(XS1)派生のカフェレーサーです。眺めるだけで楽しめるクラシック感があり乗ったら最新。カラーリングもタンクをアルミタンク風に塗装してサイドカバーのグリーンでXS1をイメージしました」(アクティブ開発部・安宅さん)

考えたら、XSR自体が「XS+R」というイメージしてのネーミングだったなら、アクティブXSRは原点回帰を果たしたのかも。

 

取り付きやすさまでも 狙った好感触の乗り味

そしてこの、ノーマルエンジンにアクラポヴィッチ製フルエキを組んだアクティブXSR。常用回転域でトルクが整理されている印象で、スロットル微開でドンとトルクが出るノーマルを、回転の上昇に合わせて出力が二次曲線的に出るように調教し直されているから、スロットルコントロールがしやすく、ストリートで乗りやすく仕上げていると分かる。

▲アクラポヴィッチ製「政府認証マフラーRACING LINE チタン」。二次曲線的な出力特性がたまらない!

サスペンションの動きはそれ以上に印象的。前後ともスプリングのみを交換するハイパープロ・コンビキットを組んで、フロントはオイル粘度を調整。予めワインディングをそこそこのペースで走る想定でセッティングしてくれたようで、特にブレーキングでフロントが沈み過ぎず、すごく乗りやすかった。そう、この動きが、アクティブで扱っているパーツの組み合わせで可能になるのだ。

XSRノーマルよりスポーティに走りたいけど、GPじゃ張り切りすぎ──。そんなライダーにぴたりと照準が合ったXSR。それがアクティブのXSR900だ。

 

ツーリングもワインディングもイケる! それが目指した次代のスポーツバイク


スタイリング上で大きなアイキャッチとなるのはやはり、サイレンサー別体のアクラポヴィッチ製フルエキゾースト。スポーツバイクにはこうしたスラッと長いサイレンサー付きを好むユーザーも多いのだ。上写真で装着しているタンクバッグは容量3〜5LのLEGEND-GEAR LT3(2万5300円)、サイドはLC1(3万140円)。


前後ホイールはクラシックさを残す、ゲイルスピードTYPE-Nコントラストでサイズは3.50-17/5.50-17。(前後セット28万2700円〜)を履く。タイヤも表情がクラシックなTT100GPラジアルに換装。フロントディスクはモトマスター製φ298㎜(1枚2万4200円)。アクラポヴィッチ製「政府認証マフラーRACING LINE チタン」の価格は32万5600円だ。


サスは前後スプリングのみを交換するハイパープロ・コンビキット(4万9500円)に置換している。


車体右サイドにはワイズギア製パフォーマンスダンパー(4万700円)を装着。ストリートバイクでは装着の効果はかなり大きい! バックステップ(5万600円)もXSR900専用設計で、シンプルでシックなデザインが印象的。


アンダーガード(3万8830円)はスポイラー的デザイン。


今回のキーパーツ、セパハン&トップブリッジセット(7万7000円)にはブレーキホースやクラッチケーブルも同梱される。


セットのセパレートハンドルは、XSR純正のハンドルバーより低く、セパハンのXSR900GPより高い設定。ブレーキ/クラッチレバーはACTIVE製(1万5400円/6380円)だ。


バックステップはフレーム側で2カ所に位置が可変する。


XSR900専用設計のSWモテック製サイドキャリア。ワンタッチでバッグを付け外し可能(左右各1万9470円)だ。フェンダーレスキット(3万4100円)はLEDナンバー灯付き。


SWモテック製サイドキャリアのキャリアにマウントできる、LEGEND GEAR SLCサイドキャリア用ナンバープレートは1万670円だ。

 

アクラポ製フルEXと ハイパープロのスプリングで 走る楽しみが倍増!

用途に合わせて着替えられるSW-MOTECHラインアップ


ストリートでの使い勝手も表現したというアクティブXSR900には、同社が発売元となるツーリングブランド、SWモテックのサイドバッグ&タンクバッグを装着する。タンクバッグは5L/8L/15Lが選べ、サイドバッグは取り付けステーを装着した上で付ける。車種専用設計で取り付け強度も心配ないというのが、SWモテック最大の特徴だ。

 

【協力】アクティブ TEL0561-72-7011 〒470-0117愛知県日進市藤塚7丁目55番地 https://acv.co.jp/

※本企画はHeritage&Legends 2025年9月号に掲載された記事を再編集したものです。
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WRITER

Heritage&legends編集部

バイクライフを豊かにし、愛車との時間を楽しむため、バイクカスタム&メンテナンスのアイディアや情報を掲載する月刊誌・Heritage&legendsの編集部。編集部員はバイクのカスタムやメンテナンスに長年携わり知識豊富なメンバーが揃う。