これがあれば! こう使うと?! お助けグッズ&ツールではかどるメンテナンス・後編

愛車をしっかり走らせたい、走った疲れや汚れから解放してあげたい。そのためにはメンテナンスだ。場所も時間もスキルも必要な作業だからプロに依頼するのも、もちろんOK。でも、そこまでではない軽い整備や洗車、日常的な作業は自分でしてみたいし、効果も知ってみたい。自分で出来れば愛車の状態をもっとよく知ることも出来るだろう。それにはどんなものが必要なのか。人気の整備企画シリーズ、今回は基本のツールをおさらいしつつ、普段の作業を助けてくれるグッズにも目を向けてみた。注目の後編をどうぞ!気になる前編はこちらです!

ちょっとした作業はツール&グッズで身近に

全部をやる必要はない。でも、ちょっとした作業はこなしたい。ミラーが緩んだり、スクリーンがガタガタ言ったりするのを締めたい。あるいは出発前に空気圧は確認したいとか、気になったレバーの遊びを調整したいというもの。

そうした比較的簡単な作業の理屈を知り、ツールを知って使えば、バイク、いや、自分の愛車はもっと身近になる。手元に車載工具くらいしかないなというライダーも、ここに紹介したようなツール、サポートグッズでいろいろな作業ができるようになるはずだ。

そしてプロの作業も、よく見ていくとツールそのものが異なるのでなく、作業環境を整え、ツールを適材適所で使っていることに気がつくはずだ。それらについてはまたの機会に紹介してみたい。まずは難しく考えずに、ツールによって便利さを高め、さらにバイクの快適性を維持することを知って、より楽しく走れればいい。

 

バッテリー充電器やテスターなどなど充電式電動ツールも活用したい

ハンドツール以外でメンテナンスに活用したい代表格が、バッテリー充電器とサーキットテスターである。バッテリー性能や充電系統の性能が向上した現行車ではバッテリー上がりの心配も少なくなったが、フューエルインジェクション車はバッテリーへの依存度が高い分、いざ不調となった際にはダメージが大きい。それを防ぐにも、長期保管時などは適切に充電器を活用するのが望ましい。一方のサーキットテスターは、電気が苦手なライダーは拒絶反応を示すかもしれないが、バッテリー電圧の測定と導通確認の2項目ができるだけでもトラブルシューティングの大きな助けとなる。

 

現状のバッテリー電圧が測定でき充電終了時間が分かるタイマー付き充電器


ディスプレイ バッテリーチャージャー ●デイトナ https://www.daytona.co.jp/products/single-91875-genre
大型のLCDディスプレイに充電電圧、充電時間、充電終了までのカウントダウンが表示される高機能型充電器。バッテリー容量は2.3~80Ahまで対応するので、LCDディスプレイ横のMODEボタンで切り替えてバイクだけでなく自動車用バッテリーにも使用可能。12Vの開放型、密閉型、ジェル型に対応し、サルフェーション除去からメンテナンスチャージまで最大6パターンの充電モードを経てバッテリーコンディションを維持する。


充電器をつないだままでも、満充電になると自動でストップするフルオート仕様なので開放型バッテリーにも安心して使える。


充電器のプラグをコンセントに差し込まずバッテリーターミナルをクランプすると、現状の電圧が表示されるためテスターとしても使える。内部劣化で電圧が上がらない場合は「不良」と表示される。

 

電圧や抵抗値に加えて電流も測定できるクランプメーター

電気は苦手という人も多いようだが、サーキットテスターは電気まわりのチェックやトラブルシューティングで絶大な威力を発揮する。2000円台で購入できる安価なものでもバッテリー電圧や抵抗値を基準とした電装品チェックが可能で、ここで紹介するクランプメーターを使えば電流の測定もできる。バッテリーを充電しても回復しない時はテスターで測定してみよう。


AC/DCデジタルクランプメーター ●ストレート https://www.straight.co.jp/item/15-147/
テスターのもっともポピュラーな使い方のひとつがバッテリー電圧測定。12Vバッテリーは満充電状態で正確には12・8Vとなり、エンジンを始動すると14V前後に上昇する。


工具ショップストレートでは10種類近くのテスターを取り扱っており、中でもこのクランプメーターは多機能タイプ。電圧、電流、抵抗値に加えて、付属のプローブで温度測定も可能。


電流測定は回路にテスターを直列につないで行うが、クランプメーターは配線に生じる磁界を検出して電流として表示する。電圧が上がるのに充電できない場合、電流不足の可能性がある。

 

分解の手間を圧倒的に軽減する電動インパクト

メンテナンスに不可欠な、部品の着脱。きつく締め付けられたボルトナットを緩める際は強いトルクが必要で、レンチやソケットツールにグイグイ力を込めるとボルトナットの六角頭を傷めるリスクもある。そんな時に重宝するのがインパクトレンチ。一瞬で大トルクが発生することで固着したボルトも効果的に緩められる。


3/8”(9.5mm)コードレスインパクトレンチ 12Vブラシレスタイプ ●ストレート https://www.straight.co.jp/item/17-090/
きつく締まったボルトだけでなく、数多くのボルトを連続的に緩める際にも便利なインパクトレンチ。この安楽さを経験すると、メガネレンチやソケット工具よりこちらの方が出番が多くなるほど。


常にホースがついてくるエア式のインパクトレンチに対して、バッテリー内蔵のコードレス式の取り回しの良さは抜群。このレンチの最大トルクは約200Nmだ。


右回転は4段階のトルク調整が効き、左回転時はボルトが緩むと止まるオートストップ機能付きで、勢いよく外れることはない。制御が細かいのは電動ならでは。

 

適度な軽さとトルクがDIY磨きに最適なポリッシャー

くすんだ塗装面を効率的に研磨する際に便利なポリッシャー。板金塗装のプロはφ180mmのバフを取り付けたAC100V仕様のポリッシャーを使うことが多いが、ドアやボンネットに比べて小さいバイク用部品には大きく重すぎて手に余る場合もある。このポリッシャーサンダーは、φ80mmの小径バフで本体も軽いため過度に削りすぎず、研磨作業に慣れていないユーザーも扱いやすいのが特長だ。


コードレスポリッシャーサンダー、専用バッテリー、充電器 ●ストレート https://www.straight.co.jp/item/17-0475/
ストレートのAC100V電動ポリッシャーの重量は2.3kgなのに対して、この製品は0.68kg。DC12Vモーターは適度なトルクで、研磨中に弾かれることもない。


くすんだ塗装面をひと皮剥くのは手磨きでも可能だが、コードレスインパクトと同様、効率の良い便利な道具を経験するともう手磨きには戻れない。


液体コンパウンドとスポンジバフで研磨力が決まるが、組み合わせは一概に決められない。ストレートのラインナップの液体コンパウンドにも粒度違いが7種類ある。

 

信頼性の高さが魅力のヤマルーブ

ドライブチェーンにはローラーやブッシュ、シールリングなど複数の要潤滑ポイントがあり、定期的にチェーンオイルを塗布することで摩耗を抑止できる。ヤマハのケミカル&アクセサリー部門であるワイズギアが販売するヤマルーブは、性能の良さはもちろん安全性と信頼性の高さも魅力。注油とたわみ量の確認はセットで行おう。


右からヤマルーブ スーパーチェーンクリーナー500ml 、ヤマルーブ スーパーチェーンオイルドライ(ホワイトタイプ)500ml 、ヤマルーブ スーパーチェーンオイルドライ(ウェットムースタイプ)500ml  ●ワイズギア https://www.ysgear.co.jp/Products/List/index/class2/43000/class3/43100


オイルを塗布する前に、チェーンに付着した汚れをクリーナーで洗い流す。ホイールやタイヤへの付着を防ぐため、チェーンの後方(車体内側)に段ボールや新聞紙を置くと良い。

 

スロットルやクラッチワイヤー専用ケミカル

全長1m近くもある中で窮屈に曲げられていることも多いクラッチワイヤは、外皮=アウターとワイヤ=インナーがこすれ合う部分で大きなフリクションロスが発生する。ヤマルーブのワイヤーグリースはフッ素樹脂の微粉末とグリースを配合することで高い減摩効果と潤滑性を両立。一般的な防錆潤滑剤と比べて効果が長期間持続する特長がある。


ヤマルーブ スーパーワイヤーグリース 500ml
ワイヤ内部には汚れが溜まるので、グリスを塗布する前にパーツクリーナーで洗浄する。写真右下のワイヤーインジェクターを併用すると充填効率が向上する。

 

これを使えばもっとメンテナンスが気軽になる。メンテサポートグッズカタログ

ここまでに紹介したようなツールやアイテムがあればかなりメンテナンスが進められることが分かった。その上で、これを使うともっと作業が楽になる、あるいは楽しくなるといったサポートアイテムがある。探せば切りがないのだけど、これはすぐにでも使えそうというものを、編集部で3つのブランドにあえて絞って、選んでみた。

 

【J.Trip】バイクを簡単にリフトアップするスタンドのトップブランド

●森 製作所/ジェイトリップ TEL072-941-5151 〒581-0882大阪府八尾市恩智北町1-62-1 http://www.j-trip.co.jp/

メッキロングローラースタンド(JT-120PT)&L受け2[R/Lセット](JT-104L2)
バイクのリヤを浮かせて各種作業を行いやすくするスタンド。その基本と言えるロングローラースタンド。後ろ側のハンドルが長く、重量車でも軽い力でリフトアップでき、高さ調整も可能。先に付ける「受け」も作業やスタンドフックに合わせたものを多数用意する(別売)。写真はスイングアームをそのまま受けるL受けを装着している。※同形状のロングローラースタンド(JT-120WT/RD/BK/QR/JGT)もあり。



ワイドショート ローラースタンド(JT-125-P)&ZRX専用 V受け[R/Lセット](JT-107S)
ほとんどのバイクに適合し足でハンドルを踏むため両手でバイクを支えられるショートタイプのローラースタンドは重宝するが、「ZRX専用 V受け」を使う際にはこのワイド版(同社製ナローより50mmワイド)を使う。ZRX専用 V受けは、通常のV受けを使った際にリヤが上がり過ぎるを避け、適切な高さにするのでZRXオーナーにオススメだ。


スーパーローロングローラースタンド(JT-1203RD/WT/BK)
マフラーが低い(横から見てスイングアームに重なる)バイクや旧車に合わせて低く設定したスタンドで本体高さ260mm、高さ調整もあえて排したスタンド。


正オフセットゴム受け70[R/Lセット](JT-104SL、写真左)、逆オフセットゴム受け70[R/Lセット](JT-104SR、写真右)
別売りの正オフセットゴム受けは’70~’80年代モデルに多いダウンマフラー対応。レブル250/500もこちら。逆オフセットゴム受けはレブル1100対応品だ。


フロントスタンド(JT-1162RD/WT/BK/QR/LG、メッキフロントスタンドJT-1162PTもあり)
カウルに干渉することなくほとんどのスーパースポーツのフロントをリフトアップできるスタンド(一部機種は別売りアタッチメント使用またはブレーキホースの取り回しを一時変更)。スタンド先端は13mmベースに15/17/19/22/24/27のアタッチメントを標準装備。リヤ側と同時使用も可能だ。


お助けリフターA(JT-9411)
チェーン交換などでリヤホイールを外し、再度取り付ける際にリヤタイヤを下から支えるリフター。アクスルシャフトを通すための高さ合わせに足を差し込んで重いとか調整しにくいといった不満を解決してくれる。使用時は780mm長だが収納時は左のように435×230×110mmサイズに収まる。


お助けラバー (2枚入り=JT-107V-R2、5枚入り=JT-107V-R1)
ひとりでリヤスタンドをかける時に便利な穴開きラバーシート。スイングアーム側フック(要装着)に端穴を通し、凸部付きV受け(別売り/要)のプレート凸部(矢印指示部)に中央の小穴をかけて連結することで、作業時に車体とスタンドが離れず安心してリフトアップできる。まさにお助けアイテム。

【DAYTONA】保管から各種ツールまで整備を支えるグッズが多彩に

●デイトナ TEL0120-60-4955 〒437-0226静岡県周智郡森町一宮4805 https://www.daytona.co.jp/

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チェーンアライメントツール <
ドライブチェーンを調整する時には車体への平行性=整列を出すのが必須だが、車体とチェーンの角度のズレが簡単&正確に目視で判断できるツール。リヤスプロケットまたはチェーンに直角に固定して上側のロッドがバイクに平行かを見る。420~630サイズ適合。


MCガレージ 折り畳みコンテナ50リットル<
樹脂製の折り畳み式コンテナ。蓋にはスライド式ロック付き。約50L容量でサイズは530×366×336(折り畳み時71)mm。約20L容量で366×264×283(折り畳み時81)mmもあり。数量限定販売品。


メンテナンスマット 約300×600mm
ゴム素材のベースの上に耐久性の高いナイロン起毛を組み合わせたメンテナンスマット。この300×600mmは新たに加わった小型サイズで、作業台上のツールや小物の転びやズレが防げる。820×2000mm、1500×2000mmもある。

メンテナンスマット 2つ折り
バイクリフトを使わないで車体の低い位置の作業をする際に座ったり膝をついたりして腰や膝への負担を減らす。広げて(510×230×30mm)膝立て(写真右)、たたんで(250×230×60mm)座るのに向いている。これを使うことで尻や膝の汚れも気にしなくて済む。EVA素材製。


メンテナンス スポンジトレー 
散らかりやすいアイテムを整理整頓できる。柔らかいEVA製なので音も吸収しやすく、置いたものの傷つきの心配もない。全体サイズは390×450×30mm、大ポケットは305×230×深さ20mm、2カ所の小ポケットは50×60×深さ20mm。作業に必要なものもぱっと置ける。


メンテナンスツール バッグ
ハンドル含めて高さ280×長辺420×短辺230mm(数値は概数)のバッグ。スプレー缶2本が入るサイドポケットや豊富なポケットで積載力が高く、重いものも運びやすい。ショルダーベルトも付属。ちょっとした作業用品をまとめて使いたい時に便利だ。


フレキシブルエンジンブラシ(上)、フレキシブルホイールブラシ(下)
オレンジ色のエンジンブラシはエンジンやサスまわりなど手の入りにくい箇所に適したナイロンブラシ、白色のホイールブラシはスポークなどにも対応するスポンジブラシ。握り手が便利で本体は折り曲げても使える。ブラシ先端には傷防止用カバーを装着している。


MCハウス1700(車体2台分)
ボルト固定のフレームに分厚く防水性を持つ生地の幌を組み合わせたバイクテント。左右窓や前後ベンチレーションなどで湿気対策もされ、ライトも吊せるので写真のように作業を行うスペースにも活用できる。このMCハウス1700は幅1700×長さ2600×高さ2200mm、開口部幅1220×高さ1700mm。下右写真の左側は車体1台分のMCハウス1300。

 

【tectile】バイクも置けるカラータイルも便利

●tectile (テックタイル)https://tec-tile.jp/


330×330×13mm/490gの樹脂製タイル(防炎)と外周パーツ(エッジ)を連結用ロックで組み合わせる屋内向けフロアタイル。タイルは11色が選べ、21枚のタイルを使うBike-1セットなど、スペースサイズで必要なセットを販売する。詳細は扱い元のオンリースタイルのHP(上記)を参照。
※本企画はHeritage&Legends 2023年8月号に掲載された記事を再編集したものです。
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